THE MATCH 2022 振り返り 今後の格闘技業界について 〜流れゆく季節は森羅万象。秋の実りのあとは冬の雷〜

今回はTHE MATCH2022後の格闘技業界について書いていきます。
前回書いたTHE MATCH2022の試合の振り返りはこちらから↓

THE MATCHの興行成績50億円以上!

今回の興行で50億円以上の売上を叩き出したと報道されています↓

https://www.nikkansports.com/battle/news/202206240000822.html

これは近年の格闘技業界を集大成させた打ち上げ花火の様なものでして。
K1、RISEを中心にRIZIN運営が携わり、
日本の格闘技マーケットが誇る最大の大砲に
天心武尊という最高の対戦カードを砲弾にし北朝鮮並の勢いでぶっ飛ばしました。
50億円以上という巨額な売上を手にした業界は一時的な潤いを手にし、
次なるビッグマッチ「朝倉未来VSメイウェザー」という新たな砲弾を
9月に予定している大砲へと準備している時でしょう。
これで、格闘技も野球やサッカーなどのメジャースポーツに少しでも近づき、
格闘技業界内が活性化するだろう!
つまり、金が稼げるだろう!
という生生しい想像もできますが、僕はそうなるとは思っていません。

フジテレビ地上波撤退。試合だけでなく格闘技業界も歴史も繰り返す。

しかし、今回のTHE MATCH2022では大きな痛手がありました。
フジテレビが地上波打ち切りという16年前と同じ結果となってしまいました。
THE MATCH2022の試合前予測でも書いたとおり、

歴史は繰り返す。というワードを使いました。
選手同士の試合だけでなく、
格闘技業界も同じく歴史を繰り返していきます。

https://www.sponichi.co.jp/battle/news/2022/06/01/kiji/20220601s00003000067000c.html

16年前のPRIDEは今のRIZIN以上に市場で優位な立場にいました。
世界一のMMAの舞台はUFC,PRIDEの二枚看板。
PRIDE運営陣が暴力団と接点があることが報道され、フジテレビが地上波撤退。
その後は、地上波撤退から1年後にPRIDE解体。
PRIDEが解体後は、K1、後任DREAMとあっけなく縮小し解散。
今回のRIZINは16年前と同じ結果と繋がるのでは。

テレビの力は絶大、偶然がもたらす魔力。

いくら今の時代はネットが普及し、PPVという巨大な大砲を扱えるようになったとしても、
そう上手くいくわけがない!と僕は考えています。
意識高い系の人は
「俺はテレビ見ないんだよねー」
「ネットで十分でしょう」
などとクールな態度が想像できますが、
まだまだテレビがマスメディアとして強力な存在という事実があります↓

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd114110.html#:~:text=%E7%B7%8F%E5%8B%99%E7%9C%81%EF%BC%882015%EF%BC%89%E3%82%92%E5%9F%BA,%EF%BC%85%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82

その上、今のRIZINの地位は、
間違いなく地上波があったから高められたのであって、
テレビで「観る、観ない」という問題ではなく、
テレビで「放送された、されない」ということが大きく関係していると思います。
例えば、大晦日ゴールデンタイムで那須川天心、朝倉兄弟、堀口恭司、その他の選手や試合を観て、
選手のファン、格闘技自体に興味を持ったという方が結構いるんじゃない?
僕自身は家にテレビがないから観ていませんが、
もし家にテレビがあれば観たい番組がなくてもテレビはつけるし、
一般的なご家庭だと当たり前のように皆テレビを観ています。
世の中の大半の人がテレビが生活の一部です。
さて、ここで僕の実体験を書いていきます。
小学6年生の時、
橋本真也VS小川直也の引退マッチが
たまたまつけていたテレビのチャンネルでやっていました。
当時12歳の僕は橋本がマットで沈み立ち上がれなくなったシーンを未だに
覚えているし、ライガー、蝶野、最近引退発表された武藤ことムタにも痺れたし、
ブラウン管の中にある戦いの世界に心を奪われました。
それを観て僕は橋本ファン、プロレス、格闘技ファンへの道へと進んでいき今に至ります。

話は戻すと、
この様に、テレビなどの巨大マスメディアによる新規顧客集客の効果は絶大でして、
YoutubeやAmazon Prime等ネット配信より不特定多数の顧客に向けてアプローチすることが可能です。

離れてわかる大切さ。男女の関係と一緒。

更に、もう一点、
地上波放送されることにより興行自体の価値が上がることです。
例えば、友達や家族との会話で、
「この間の大晦日、テレビで放送していたRIZINを見に行ったんだけどさ、、、」
と、
この間の大晦日、昔テレビで放送していたRIZINを見に行ったんだけどさ、、、」
どちらが話しのネタになりますか?
明らか前者です。
前者の方が強烈かつ新鮮な味がします。

寿司でも旬なネタ、鮮度が命、ということが定石ですが、
格闘技でも同じです。
今回のTHE MATCHは天心武尊、
二人の長いドラマや団体の看板をかけた一戦だったから注目されました。
そして、この二人に共通することは格闘技以外のテレビに出ているということです。
他の選手もYoutubeだったり、SNSやらで人気を集めていますが、
天心武尊よりもテレビに出ている選手はいません。
つまり、高額なチケット、PPVを売れた理由は、
・天心武尊の長い因縁
・K1、RISEの看板かけた決戦
天心武尊が一般的に知られてる。

つまり、元々この興行は
テレビの恩恵を存分に受けているのであって、
決して、SNSやネットだけでここまで盛り上げることはできなかったはずです。
それをRIZIN代表の榊原氏は今後は地上波に頼らない基盤を作る!
と獅子奮迅していますが、鼻で笑ってしまうのは僕だけでしょうか。

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6430501

今のRIZINがあるのは、地上波テレビがあったからだと仮定した場合、
どう逆立ちしても、RIZINが今より立ち位置が有利になることは考えられないし、
15年前の買収が頭をよぎります。

https://www.boutreview.com/data/news05/070327pride-kaiken.html

↑僕は18歳の上京して間もない頃、現地六本木ヒルズまで観に行ってました!

僕の見解ですと、
格闘技業界はテレビ離れによりどんどん衰退していくと考えています。
そして、RIZIINはベラトールあるいは、UFCに買収されるということも考えられるし、
そうなってしまった場合、今回いい思いをできた
K1、RISEなんかにしわ寄せの影響が及ぼされるでのは、とも予測できる。


秋の実りのあとは再び冬の季節到来か。


今回の記事をまとめると、
THE MATCHで一旦は大きく潤いはしたが、
それは、ここ7年近くの格闘技業界の集大成であったため。
新たなプラットフォームや、
ストーリ性や勝負論のない朝倉未来VSメイウェザーでは、
50億稼ぐどころか、メイウェザーの高額なギャラによる赤字をどう抑えるか。
今後の興行というか、世間から格闘技というコンテンツが弱体化をどう抑えるか。
如何に赤字を抑えるかみたいな負のオーラ満開のネガティブ方針に航路に進んでいくのか。
まさに日本の未来と思わせる厳しい現実となりそうです。

格闘技はそもそも誰のもの。

最後に日本では格闘技自体が一般化されない歴史があります。
決して野球やサッカーの様なメインストリームには乗らず、
サブカルチャー的なポジションで、一部のマニアやファンに愛されるコンテンツだと思っています。

僕が考える格闘技が好きな人というのは、
僕を含めて、
何かコンプレックスがあったり、
色々上手くいかなかったり、
一般レールから外れている人が多いと感じています。

それでも運命に抗いたい、
壁を乗り越えたい、
向かっていきたいという
中二病的な人に愛されるコンテンツです。
少なくとも僕にとって格闘技はそういうものだし。
昔も今もそう向き合っています。
僕は格闘技が冬の時代の時でも追いかけていたし、
僕自身は変わらなくとも、
世間からの話題とならなくなった時代の格闘技が、
本来の格闘技業界の姿なのかな。とも感じています。
背伸びすることが悪いとは言いませんが、
ありのままの姿が一番ステキだと人も業界も一緒だと思います。

ここ数年の格闘技ブームが怖いくらいだったのでしょうかね。
さて、来月7月はRIZIN興行2発。
本日(6/25)もK1初の女子大会!RISEも昨日(6/24)と興行があり、
どう業界が動いていくのかが見ものです。

天心武尊は馬場猪木の歴史を。
格闘技業界は15年前の悪夢再来か。

これからも格闘技の試合だけでなく、格闘技業界がどう動いてくのか、
目が離せません。