THE MATCH 2022 振り返り『天心vs武尊』 〜負けてこその価値。立ち上がる勇気〜

昨日、開催されたTHE MATCH 2022
メインカード『天心vs武尊』の試合を振り返っていきます。
戦前の予想通りの結果、内容となりましたが↓

天心 完封勝利! 圧勝!完勝!大喝采!

結果は天心の見事な完封勝利。


1Rには、喧嘩四つの天心と武尊ですが、
序盤から天心のリードジャブが武尊の顔面を捉え、完全に天心ペース。
武尊は動きが固いということもありますが、天心のスピード、フットワークに翻弄される。
終盤、天心の強烈な左ストレートのカウンターが
武尊の顎を打ち抜き、見事なダウンを取ったところに1R終了。
いや〜見事なカウンターでした。

2R、武尊はエンジンをガンガン焚き付け、
天心にプレッシャーをかけるもまたも天心のジャブがモロにクリーンヒット。
焦る武尊は強引に前に出たところ、
武尊の頭が天心の右目にバッティングしてしまい、一旦試合中断。
天心は右目が上手く開けられず、数分間インターバルが与えられました。(このインターバル中、試合が止められないことを祈っていました。。。)

その後も、攻撃を当てられない武尊は焦り、天心を投げ飛ばしたりのラフファイト。
武尊持ち前のプレスも闘牛士にあしらわれる猛牛のように、避けられる。
一方、天心は華麗な体捌き+フットワークでのヒット&アウェイが成功し天心優勢状態は変わらず。

3Rは天心が完全にポイントアウト。
1R、2R終了後に発表されたジャッジの採点により、
3Rを逃げ切れば、完封勝利することが明確でした。
天心は忠実な試合運びにより、武尊からの攻撃を完璧に避けて、ジャブを武尊の顔面に当て込む。
見事に場を制し、令和の死闘を完封勝利しました。

ハッキリ言って天心の横綱相撲。武尊は相手にならなかったっすね。

天心は神の領域へ。 

見事、令和における世紀の一戦を勝利した天心は、
ボクシング挑戦。

キックボクシング42戦全勝という大偉業を達成し転向するということで、
今後の活躍が本当に楽しみです。

神童が神の領域へと向かい、井上尚弥、井岡一翔はたまた、長谷川穂積なのかはわかりませんが、
日本ボクシング界の歴史にも伝説を作ってくれるでしょう!
こうして、一人の青年は神格化し神々の領域へと足を踏み入れていきます。

武尊は世川武尊へ。

一方、武尊は試合後、リングから降りた際、
四方八方に誤りながら退場。
決して謝ることはないし、胸を張って退場してもらいたいというファンの気持ちはあれど、
武尊自身は長年祈願していたK1最強を証明することができないという悔しさが伝わります。

ホントに悔しかったんだろうし、ファンや関係者に申し訳ないという気持ちだったんでしょう。
その気持は武尊以外、知り得ないことだろうし、
この試合を長年熱望していた武尊だからこその涙だと思います。
こんな泣き崩れる武尊を見るのは始めてだし、メディアや試合の時とは全くの別人。
この瞬間はK1 武尊ではなく、本名・世川武尊さんの素じゃないでしょうかね。

神格化されつつあったK1の武尊から
一人の人間 世川武尊さんに戻った瞬間を垣間見ました。

勝者と敗者の差は絶大。賭けるものが大きいほどコントラストが強い

試合後、笑顔の天心と号泣の武尊。
格闘技だけに限りませんが、
勝者と敗者はこれだけの差があります。

二人の試合ではそれが顕著に出ました。
7年という月日。RISE、K1という看板をかけた道場破りマッチ。
江戸時代・宮本武蔵でいうと、巌流島の戦いや吉岡一門との戦いでしょうかね。

ギャンブルなんかで例えると、わかりやすいですが、
賭けるものが大きいほど勝った場合のリターンは大きい。
しかし、負けると全てを失う。
自分が積み上げてきたもの。培ってきたもの。
この二人くらいのレベルになると、
周りの方や、団体、ファンや大きなものに強い影響を及ぼします。
それを両者が誰よりもよくわかっているでしょう。
そのため試合後の両者の様子のコントラストがとてつもなく大きいことがわかります。

立ち上がる勇気

ここで長年、格闘技を見続けている僕が強く想ったことは、
負けた武尊選手についてです。

僕は子供の頃から格闘技やプロレスの大ファンです。
それは
負けたとき、どん底に落とされた時、そんな時でも選手達が立ち上がる姿に魅了されているからです。
心身ともにボコボコのボロ雑巾にされても立ち上がり向かっていく。
どんな過酷な状況でさえ明日はやって来ると。教えられてきた気がします。

気づけばそんな選手たちの生き様に20年以上魅了されています。
試合後、会見やSNSで気丈に振る舞う武尊選手の様子を見ていると、
また、ここから立ち上がるぞ!という悔しさの中から意気込みを感じ、流石一流ファイターだなあと感心させられます。

武尊選手はきっと、
また立ち上がってきてくれるはずだし、
その立ち上がる姿、立ち上がろうとする姿に僕は心が打たれるだろうし、
挑戦する姿に心が動かされます。
その気持ちを
一般的には感動と呼ぶのでしょう。

負ける姿だろうと、努力が報われなかったとしても
そのガムシャラに生きる姿勢に胸が熱くなる。
少なくとも、この試合を通じて、
僕はそんなことを考えましたし、
ズドンと心の鐘のようなものが鳴らされた。

天心はボクシング挑戦。武尊のドラマも終わっていませんよ。

さて、2010年代の代表的な自己啓発本『嫌われる勇気』

今回、僕は武尊選手の試合後の哀愁からは『立ち上がる勇気』を感じました。
本ではなく戦いから哲学を感じました。
格闘技と哲学。
一般的には似て似つかないものだと思われますが、
武尊選手からはそんなようなことを感じさせられましたね。
今の所、具体的にどの様に立ち上がっていくかは想像できませんが、
きっと立ち上がってくれるでしょう。

そして、どんな状況でさえ明日は必ずやってきます。
それを武尊選手がまたリングで証明されることを待ち望んでいるし。楽しみだ。
僕はやるせない気持ちにピッタリな80年ロックを聴きながら明日からも頑張っていきます!

明日は必ずやってくる!